どれだけ生きたかよりも、どう生きたかが大事

本当に短い期間だったけど、名もなき彼女のことを、どうしても

何かに残しておきたいと思い、ブログに書くことにした。

 

7月に入ってすぐの事、小、中学校からの看護師をやっている友人から電話があった。

いつもラインでやり取りしているのだけど、直接の電話で何事だろうと思った。

電話の内容は、彼女が訪問看護に行っている末期がんの方の家に

指圧に行けないだろうかとのことだった。

訪問看護に行くと、背中や腰がツライとの事でマッサージをしていたが、

本人が専門の人にやってもらいたいと希望していると。

もちろん仕事を受けさせてもらった。

すぐあとに、ご主人から連絡があり数日後、出張指圧に伺った。

訪問前に友人看護師からざっくり情報をもらった。

40代、末期がん、痛みのコントロールのみの終末医療。

ご主人と小1(7歳)のお子さんがいるとのこと。

 

初めて訪問したときは、2日前に腹水を抜きそっちは少し楽になったけど、

抜いた部分が痛いとの事で体勢を変えるときはゆっくり、

ご主人に手伝ってもらいながら行った。

普段のときご主人もマッサージ出来るように、ポイントを伝えながら施術した。

気を付けなければいけないのは、やり過ぎてしまうこと。

なので30分~40分を目安に施術した。

終わったときに彼女から『あと10分延長出来ませんか?』と聞かれ

『体が疲れてしまうので、長くやらない方がいいですよ』と言ったら

『私ではなく、主人をやって頂けないでしょうか?』

『私や子供の事で主人の方が疲れてるので』と。

ご主人の方も『私はいいです、大丈夫ですから』と。

こんな極限状態なのに、お互いに思い合っていて感動で泣きそうになった。

結局、10分だけだったけど、ご主人も指圧した。

ご主人はお子さんもまだ小1で遅くまで学童にいることを気にしていた。

こんな素晴らしい人達に奇跡が起きてほしい!

心から祈った。

その後は週1ペースでご本人から連絡があり、出張の指圧に行っていた。

昼間、彼女が一人でいることなど気になったので、近くに頼れる人が

いないかなど聞いてみた。

でも、どちらの家族も近くにはおらず、親も高齢なので頼めないと。

彼女たち夫婦も元々は都内に住んでいて、家を買うには高いため

こちらに越してきたので地元ではないと。

なので私と友人看護師の関係を、昔からの友人で

しかも関連した仕事をしているなんて羨ましいと言っていた。

 

7月後半、いつものように彼女から連絡があり、施術に伺った。

その時また腹水で少し苦しいと。

痛みに関しては薬が効いているので大丈夫とのこと。

そんな中でも『暑い中来て頂いてスミマセン』と気遣ってくれる。

でも確かに7月は暑くて、通常行っている訪問マッサージでの

消耗も激しかった。

ボーっとしていて毎回持っていく領収証を忘れてしまった。

その時は何の気なしに『次回の時、持ってきますね~』と言って帰宅した。

あれが最後だったなんて…

8月に入り1週目、連絡がなかった。

2週目は連休に入る事伝えていた。

3週目、連絡がまだないけどお盆だしと自身に言い聞かせていた。

もし入院しているのなら必ず帰宅してまた連絡をくれるはずと。

友人看護師に聞いてみたいけど、正直こわくて聞けなかった。

そして昨日、友人看護師から連絡が入った。

『お亡くなりになったよ、感謝していたよ』と。

たった1か月だったけど、指圧の間、普段できる事聞いてきた。

なので、あまり体に負担のかからない足湯のやり方を伝えた。

最後まで生きる努力をしていた。

それでも、あまりにも早すぎて残念でならない。

彼女の事は、生涯忘れないと思う…

 

もう少し時間が経ったら、手紙と領収証を届けてこようと思っている